プロ野球のハイライトでこんな報道を耳にすることはありませんか?
今回は「QS」という先発投手評価指標について解説していきます。
- QSとはクオリティスタートとのことです
- 投手を評価する指標です
- 先発投手が6回以上投げて、かつ3自責点以内に抑えた時に記録されます
目次
QSの意味と達成条件
野球におけるQSとは「クオリティスタート」の略称です。
達成条件として先発投手が6回以上投げて、かつ3自責点以内に抑えた時に記録されます。
「6回以上投げる」と「3自責点以内」は両方同時に達成しないといけません。
例えば以下の例では◯がQS達成、×がQS未達成です。
- 5回3自責点 →×
- 6回3自責点 →○
- 7回3自責点 →○
- 7回4自責点 →×
たとえ6回まで3自責点に抑えていても7回に4自責点目を取られた場合はQSにはならないです。
QS率とは
QSを使って投手を評価する場合はQS率という指標を利用します。
QS率の計算式は以下の通りです。
QS率=QS÷先発登板回数
例えば20回先発登板して15回QSを達成した場合、QS率は75%になりますね。
ちなみにQS率75%はかなり優秀です。
なぜQSという指標ができたのか?
それではなぜこのQSという指標ができるに至ったのでしょうか?
それは「先発投手がどれだけ安定して試合を作ったか」を評価したかったからです。
QSができるまでの先発投手を評価する指標といえば、勝利数や防御率でした。
しかし勝利数や防御率には投手を評価する際、以下のようなデメリットがありました。
- 勝利数…味方の援護点や中継ぎ陣の能力に大きく左右されてしまう
- 防御率…毎試合の安定感は測れない
防御率で評価する場合、例えば以下の2投手の防御率は同じということになります。
- 毎試合6回3失点の投手A
- 6回無失点と6回6失点を交互に繰り返す投手B
2投手とも防御率上は同じですが、投手Aの方が成績に安定感がありますね。
QSの意外なデメリット
あくまで先発投手が合格点を超えているかどうかの世界
QSは100点満点中60点の投球をどれだけできるかを評価します。
なので60点以上を取れた投手の間で優劣をつけることはできません。
極端な例ですが以下の2投手の場合は評価は同じになるんですね。
- 投手A…毎試合6回無失点でQS率100%
- 投手B…毎試合6回3失点でQS率100%
あくまで合格点最低点以上をどれだけ記録できるかの指標なので、合格点以上をとれた投手間で優劣をつけられませんね。
計算で使用する「自責点」が信頼できるデータではない
自責点は投手の責任で取られた失点のことです。
ホームランを打たれたり、ヒットで出したランナーがタイムリーヒットで生還したりした場合に自責点として計上されますね。
一見信頼できそうなデータですが、自責点は結構守備に影響されたりします。
例えば守備陣がゴールデングラブ賞を獲得できるほど固い守備を有していれば、ヒットが減るので自責点も下がりやすいですね。
リーグごとに難易度が違う
QSは6回3自責点という基準が決まっている「絶対評価」の指標です。
なのでリーグの違う投手を比較する場合は注意が必要です。
日本プロ野球の平均防御率はだいたい3点台後半です。
一方、メジャーリーグの平均防御率は4点台中盤とちょっと高めです。
本来はリーグのレベル差も考慮すべきですが、メジャーとプロ野球でどちらがQSを達成しやすいかは一目瞭然ですね。
ちなみにHQSって何?
QSに似た指標でHQSという指標もあります。
実は日本では一時期こっちが主流で使われていました。
HQSは先発投手が7回以上投げて、かつ2自責点以内だった時に記録されます。
QSよりも少し難易度が高いですね。
2020年のQS率ランキング
セリーグ
順位 | 選手名 | QS率 |
---|---|---|
1 | 西勇輝 | 80.95% |
2 | 大野雄大 | 80.00% |
2 | 菅野智之 | 80.00% |
4 | 森下暢仁 | 77.78% |
5 | 福谷浩司 | 71.43% |
パリーグ
順位 | 選手名 | QS率 |
---|---|---|
1 | 千賀滉大 | 77.78% |
1 | 山本由伸 | 77.78% |
3 | 涌井秀章 | 70.00% |
4 | 石川歩 | 66.67% |
4 | バーヘイゲン | 66.67% |
4 | 上沢直之 | 66.67% |
4 | 二木康太 | 66.67% |
セリーグとパリーグともに各チームでローテーションを張っている先発投手がランクインしています。
ちなみに2013年に24勝0敗を達成した田中将大投手はQS率が100%でした。
勝率&QS率が両方100%なんて空前の記録ですね。
まとめ
今回は以下に関してお話ししました。
- QSは先発投手が6回以上投げて、かつ3自責点以内に抑えた時に記録される
- QSは「投手がどれだけ試合を作ったか」を評価するために作られた
- 似た指標でHQSという指標もある