今回は先発7人を中6日でローテーションしていくというトピックを目にして非常に興味深かったので本記事でまとめました。
野球の戦術が時代を経るごとにレベルアップしていて、このスポーツの奥深さを感じますね。
以下が本記事の内容です。
- そもそも先発ローテーションとは一体何なのか
- 先発投手7人を中6日で効率よく回していく手法を図解で紹介
- 7人、中6日ローテのメリットは何なのか
本記事を読んでいただければ、最近の新しい戦術である7人ローテの手法を図でわかるとともに、そのメリットも知ることができます。
目次
先発ローテーションとは
先発ローテーションとは野球、特にメジャーリーグや日本プロ野球のようなリーグ戦を行う際に、複数の投手を用意して順番に先発登板させることです。
略して「ローテ」や「先発ローテ」のような言われ方をします。
年間100試合以上を消化する現代野球において一人のエースが全ての試合に先発登板することは、当然ですが不可能です。
なので現在はメジャーリーグでは中4日、日本プロ野球では中6日で投げさせることが一般的です。
特にメジャーリーグは1試合100球という基準をどのチームも遵守しており完全試合でもしない限りは1試合でこの球数を超えて投げることはまずありません。
一方、プロ野球は中6日で投げさせる一方、1試合の球数制限はメジャーリーグよりは緩いです。
おそらくプロ野球の場合は1週間6試合&月曜定休日なので、各投手の登板曜日を固定して中6日で回すほうがマネジメントがしやすいから中6日が浸透したのでしょう。
楽天の美馬投手が数年前ミスターサタデーなんて言われていた記事を見ましたが、これは曜日固定で先発して好成績をおさめていたのでこのふたつ名で呼ばれていました。
日本プロ野球の出場登録抹消規約
本記事で重要な規約になるので少しご紹介します。
プロ野球では1軍の登録を抹消されると1軍の公式戦には出場できなくなり、再登録も10日間はできないというルールがあります。(野球規約84条)
例えば8月1日に登録抹消された場合は、再登録が可能になるのは最短で8月11日ということになります。
主力選手は基本的に1軍に滞在していますが、それ以外の選手は調子の良し悪しや故障選手の補充などで1軍と2軍を行き来しています。
なのでチームの各監督はこの10日間ルールをうまく活用しながら日々の試合に万全な状態で挑むために上手くやりくりする必要があります。大変ですね。
ちなみにこの登録抹消に理由は非公表です。しかし、監督が記者に質問されて答えるケースが結構多いですね。
先発7人、中6日ローテの手法を解説
これからは先発7人を中6日でローテーションさせて行く手法を紹介します。
現在の日本プロ野球では出場選手の登録抹消・再登録のインターバルが10日間と決まっています。
つまり一度1軍抹消すると10日後まで再登録することができないという規定です。
しかし、この規定を逆手にとれば下のように先発投手7人で中6日でローテを回すことが可能です。
31日間のカレンダーに載せるため、縦に長くなってしまい申し訳ないです。
- 月曜日(オレンジ)は試合のない日
- 表ローテの3人(表①、表②、表③)は水曜・金曜・日曜に先発
- 裏ローテの4人(A,B,C,D)は火曜・木曜・土曜に先発
- ○のついている投手がその日先発する投手
- 斜線部は出場登録抹消されている期間(10日or11日)
例えば表ローテの表①投手は中6日で8月2日、9日、16日、22日、30日に登板します。
一方、裏ローテのA投手は8月1日、8日に登板した後、9日に登録抹消、19日に再登録されて当日に登板、そして26日に登板した後27日に再度抹消されています。
このように表ローテ3人は通常通り中6日で投げてもらい、裏ローテ4人は2回先発させたら翌日に抹消し10日ないし11日後に再登録して登録した当日に投げてもらえば、理論上7人の投手で台所事情を回すことができます。
また、一番右の列に各日の投手人数を書いていますが、1軍に滞在している先発投手は常に4人〜5人になっています。
2020年和田投手の例
上図のようにまわすのは雨天中止やケガなど不確定なことが起こるので現実で完全に再現するのは難しいですが、2020年のソフトバンク和田投手は似たような起用方法で登板していました。
和田投手は2020年に16先発8勝1敗と好成績を残していますが、一方でシーズン中に登録抹消を4回繰り返しています。
私も2020年シーズン中和田投手が好投したにもかかわらず次の日に登録抹消されているのを見て「あれっ?」と感じたのですが、上図を見ると納得ですね。
和田さんも2020シーズンで39歳なので登板間隔を開けたり1試合あたりの投球数を少なくするなどしてうまくやりくりしていたのでしょう。
2000年代の頃から第一線で活躍し続け、2020年代においても老獪なピッチングで成績を残しているのは本当にすごいですね。
7人中6日ローテのメリット
先発投手の枠を一つ節約できる
このメリットがこの戦術の最大のメリットです。
常時、1軍にいる先発人数が4人もしくは5人となっており1軍の先発枠を1人か2人節約することが可能です。
現代野球は先発投手がそのまま完投することが昔よりも減っており、基本的に複数投手の継投で試合を作っていきます。
半年間で100試合以上もこなすプロスポーツともあってどのチームもブルペンは逼迫しており、中継ぎ投手は1枚でも多くいてほしいというのが各監督の本望だと思います。
この背景もあって使える中継ぎ投手が一人でも多いことは嬉しいことですね。
裏ローテの各投手が十分な休息を取れる
このローテーションで回せば表ローテの投手は中6日ですが、裏ローテの投手は10日〜11日間の休息を取れます。
先発時の投球による腕への負荷が回復するのは一般的には4日以上かかると言われていますが、個人差はあるにせよこの回復期間が長いに越したことはありません。
パフォーマンスも休息をしっかりとったほうが良くなる傾向にあります。
年間100試合以上ある中で複数投手を万全の状態でかつケガをさせないように投げさせるために十分有効な戦術です。
まとめ
今回は以下に関してまとめました。
- 先発ローテーションとは複数の投手を用意して順番に先発登板させること
- 表ローテ3人と裏ローテ4人をうまく回すことで投手に7人によって先発ローテーションを回せる!
-
7人ローテのメリットは「先発投手の枠を一つ節約できること」「裏ローテの各投手が十分な休息を取れる」
正直ただの個人的な興味でまとめた記事なのですが、私の説明が少しでも皆さんに伝わっていたら嬉しいです。
こういう図解を作ってみるの結構好きなんですよね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!