本記事ではプロ野球やメジャーリーグでシーズン終盤に話題に上がりやすい制度、認定首位打者について解説します。
規定打席に到達していない選手は高打率だとしても打率ランキングに載ってこないので、隠れ首位打者とも呼ばれています。
✔︎本記事の内容
- 認定首位打者とはどういう意味?
- 歴代認定首位打者の選手
- 認定首位打者になりかけた選手(規定打席ジャスト)
認定首位打者とはどういう意味?
認定首位打者とは規定打席に満たない打者でも不足分を凡打として打数を加算すれば最高打率になる場合に首位打者となる制度です。
通常、首位打者を獲得するには自分の打席数が規定打席に到達している必要があります。
打率はホームランや打点のような積み上げ式の記録ではなく確率の記録なので、母数である打数に大きく影響する打席数に条件を設けるのは当然ですね。
しかし不足分の打席がすべて凡打だったとしてもそれでも最高打率であるならば、その選手がその年で最もヒットを打つ確率が高い選手だという思想でこの制度が設置されていると想像しています。
歴代認定首位打者の選手
これまでに規定打席に到達していない例外規定として認定首位打者となった選手を紹介します。
日本プロ野球(セリーグ・パリーグ)
日本プロ野球で今までに認定首位打者となった選手はいません。
メジャーリーグ(アリーグ・ナリーグ)
メジャーリーグでは過去に以下の選手が認定首位打者になりました。
- トニー・グウィン(パドレス・1996年)
トニー・グウィン(パドレス・1996年)
✔︎1996年の首位打者争い
順 | 選手名 | 打率 | 規定打席 | 安打/打数 |
---|---|---|---|---|
1 | トニー・グウィン | .353 | 4打席足らず | 159/451 |
2 | エリス・バークス | .344 | 到達済み | 211/613 |
※メジャーの規定打席は502打席(162試合×3.1)
グウィン選手はレギュラーシーズンで規定打席に4打席足りませんでしたが、打率.353の高打率をマークしていました。
一方規定打席到達者の中でトップの打率を残していたのがバークス選手で打率は.344でした。
グウィン選手は足りなかった4打席分が凡打だったと仮定すると打率.349(159安打/455打数)となり、バークス選手の打率を上回るのでグウィン選手の認定首位打者が決まりました。
メジャーリーグと日本プロ野球を通じて認定首位打者となったのはグウィン選手ただ一人なので、認定首位打者の制度は通称「トニー・グウィン・ルール(Tony Gwynn rule)」と呼ばれています。
ちなみに記録として残るのは不足打席分を含めないときの打率です。(グウィン選手の場合は打率.353が公式記録)
認定首位打者になりかけた選手(規定打席ジャスト)
結果的に認定首位打者という扱いにはなりませんでしたが、規定打席ジャストで首位打者になった選手がNPBに何人かいます。
年 | 選手名 | チーム名 | 打率 | 打席数 |
---|---|---|---|---|
1975 | 白仁天 | 太平洋 | .319 | 403 |
1981 | 藤田平 | 阪神 | .358 | 403 |
1991 | 平井光親 | ロッテ | .314 | 403 |
※1966〜1996年は130試合制のため規定打席は403打席(130試合×3.1)
いずれの選手も130試合制の時代に403打席でギリギリ規定打席に到達して首位打者となりました。
以上、認定首位打者についての解説でした。