野球において投手が投げる球種の一つにカットボールがあります。
本記事では、カットボールの特徴や握り方、カットボールのメリット・デメリット、ツーシームやスライダーとの違い、カットボールを使う代表的な投手について紹介します。
目次
カットボールとはどんな軌道の球種?
カットボールとは直球とほとんど同じ球速で利き腕と逆方向に小さく鋭く曲がる軌道の変化球です。
次のような別名もあります。(意味はどれも同じです)
- 「カッター」:ボールをカットするように投げるため
- 「真っスラ」:真っ直ぐ(ストレート)とスライダーの中間的変化をするため
カットボールを決め球にしている投手も多く、よく使われる変化球として知られています。
カットボールの効果的な使い方
カットボールは小さく鋭く変化する軌道のためバットの芯を外して凡打を狙う変化球です。
大きく変化しないので空振りは狙えませんが内野ゴロを打たせてゲッツーを取ったり内野フライを打たせたりしたい時に使います。
例えば右投手の場合は
- 対右打者:外角に投げてバットの先に当てさせる
- 対左打者:内角に投げてバットの根元に当てさせる
みたいな使い方ができますね。
逆に大きな変化をさせることはないので空振りを狙いたいときに使うような変化球ではありません。
カットボールの握り方
カットボールはほとんどストレートと同じ握り方ですが、人差し指を少し中指方向に寄せます。
そうすることで人差し指でボールを切る(カットする)ことができ利き腕と逆方向に小さく変化させることができます。
ストレートとほぼ同じリリースで投げることができるので打者からは見分けがつきにくいです。
カットボールとツーシーム・スライダーとの違い
カットボールに似た変化球にツーシームとスライダーがあります。
これらの変化球との違いは次のとおりです。
変化球名 | 変化量 | 変化方向 |
---|---|---|
カットボール | 小さい | 利き腕と逆方向 |
ツーシーム | 小さい | 利き腕方向 |
スライダー | 大きい | 利き腕と逆方向 |
カットボールとツーシームは小さく変化させてバットの芯を外す変化球という点で同じですが変化方向が逆です。
そしてカットボールとスライダーは利き腕と逆方向に変化する点は共通していますが、スライダーは空振りを狙うために大きな変化する点で異なります。
カットボールのメリット・デメリット
メリット:投球フォームで見分けがつきにくい
ボールの握りを少し変えていつも通り真っ直ぐを投げるイメージで投球するので投球フォームで見分けがつきにくいです。
どんなにキレのある変化球でも投球フォームでバレてしまっては意味がないですからね。
真っ直ぐを投げるように腕の振りを強くするのがコツです。
メリット:詰まった打球を打たせやすい
カットボールを使用する最大のメリットは詰まった打球を打たせることができることです。
バッターも気づかないほど小さく変化させることで芯で打ったと思っても実は芯から外れていてゴロやフライになるというわけです。
特にランナーが一塁にいる状況でゲッツーを狙いたい時にカットボールを使いたいですね。
デメリット:三振を狙いにくい
逆にデメリットとしては変化量が小さいので三振を狙いにくいです。
ランナーが三塁にいる状況などでどうしても三振がほしい!という場面ではなかなか使いづらいかもしれません。
カットボールが武器の代表的な投手【動画あり】
マリアノ・リベラ:MLB歴代最多の652セーブ
カットボールの使い手として歴代No.1の選手はマリアノ・リベラ投手で決まりですね。
リベラ投手は「電動ノコギリ」とも呼ばれるカットボールで打者のバットを次々とへし折っていきました。
球種はストレートとカットボールの2種類しかなく投球の8割以上がカットボールという珍しい投手でした。
2013年の引退時にはミネソタ・ツインズから「折られたバットで作られた椅子」が贈呈されるサプライズもありました。笑
川上憲伸:カットボールチャンネル
日本人選手のカットボーラーといえば中日ドラゴンズの元エース・川上憲伸投手です。
リベラ投手の投球がきっかけでカットボールに興味を持ち、武田一浩投手から直接教わって開発したと語っています。
自身のYouTubeチャンネルにも代名詞であるカットボールを入れていますね。(川上憲伸カットボールチャンネル)
ダルビッシュ有:NPB時代に5年連続防御率1点台
全ての変化球が一級品と言われるダルビッシュ投手もカットボールの使い手です。
ダルビッシュ投手はYouTubeにてカットボール講座の動画をアップしているのでぜひご覧ください。
こういった形で次世代に向けて自分自身のスキルを教示してくれるのは嬉しいですね。
以上、カットボールという球種についての紹介でした。