- プロ野球のクライマックスシリーズってなんだろう?
- レギュラーシーズンとは別物の試合なの?
- クライマックスシリーズのポイントについて教えてほしい!
本記事では日本プロ野球における重要な制度、クライマックスシリーズ(通称、CS)について解説していきます。
プロ野球観戦初心者にとってはどんな立ち位置の試合なのか全然わからないと思いますので開催目的や実施方式、ポイントについてこの記事で丁寧にお話ししています。ぜひご覧ください。
✔︎本記事を読んでわかること
- クライマックスシリーズの開催ルール(目的、出場チーム、日程など)
- クライマックスシリーズのルールのポイント(全部で4点)
- クライマックスシリーズの過去の結果(2007年〜)
プロ野球1年間の大まかな流れについて知りたい方は「【スケジュール】プロ野球の1シーズンの流れをわかりやすく解説!」も合わせてどうぞ。
目次
クライマックスシリーズの開催ルールとは?
プロ野球のクライマックスシリーズの開催ルールは次のとおりです。
開催目的 | 日本シリーズの出場チームを決定する |
---|---|
出場チーム | 各リーグの上位3チーム |
実施方式 | トーナメント方式 |
日程 | レギュラーシーズン終了後の10月初め頃 |
延長戦 | 延長12回まで |
表彰 | 優勝チームから1人MVPを選出 |
それぞれについて詳しく解説していきます。
開催目的:いつからスタートした制度?
クライマックスシリーズ(CS)を開催する目的は、セリーグとパリーグの両リーグから日本シリーズの出場チームを決定するということです。
2007年からセパ両リーグで導入された制度で、短期決戦の緊迫感がウリの注目度の高い試合です。
2004-2006年はパリーグのみ、プレーオフという制度名で日本シリーズ出場チーム決定戦が開催されていました。このプレーオフから細かいルール改正をして誕生したのがクライマックスシリーズです。
出場チーム:各リーグの上位3球団
セパ各リーグのレギュラーシーズン上位3チームがクライマックスシリーズに出場します。
全12球団のうち合計6球団が出場できるということになりますね。
実施方式:トーナメント方式
上の図のような仕組みでトーナメント形式で試合が開催されます。
- ファーストステージ:3試合2勝先取
- ファイナルステージ:6試合4勝先取(1位チームにあらかじめ1勝のアドバンテージ)
クライマックスシリーズはこれら2つのステージに分けられファイナルステージに勝利したチームが日本シリーズに駒を進めます。
また、球場はレギュラーシーズン上位チームの本拠地で行われます。
- ファーストステージ:レギュラーシーズン2位チームの本拠地
- ファイナルステージ:レギュラーシーズン1位チームの本拠地
各ステージの全試合を上記の球場で実施します。
日程:いつから始まる?
レギュラーシーズンが終わった後の10月初旬頃に開催されます。
予備日の間隔も決まっており、例えば10/8からクライマックスシリーズが開幕する場合次のようなスケジュールで開催されます。
10/8 | ファーストステージ第1戦(2位vs3位) |
---|---|
10/9 | ファーストステージ第2戦(2位vs3位) |
10/10 | ファーストステージ第3戦(2位vs3位) |
10/11 | (予備日) |
10/12 | ファイナルステージ第1戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/13 | ファイナルステージ第2戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/14 | ファイナルステージ第3戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/15 | ファイナルステージ第4戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/16 | ファイナルステージ第5戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/17 | ファイナルステージ第6戦(1位vsファーストステージ勝者) |
10/18 | (予備日) |
10/19 | (予備日) |
ファーストステージとファイナルステージの間に1日しか予備日がないため、体力的にレギュラーシーズン1位チームが有利になります。
延長戦:延長12回まで
延長戦はレギュラーシーズンと同様に12回まで行われます。
引き分け試合があった場合は再試合はせずに引き分けの成績込みで各ステージの勝者を決定します。
2020年は延長10回まで、2021年は9回打ち切りのルールで開催されました。(レギュラーシーズンに準じて)
表彰:クライマックスシリーズMVPが選出されます
クライマックスシリーズ優勝チームの中から最も活躍した選手にMVPが贈られます。
ちなみに2021年のクライマックスシリーズMVPの賞金額は100万円でした。
クライマックスシリーズのルールのポイント:基本的に上位チームが有利
クライマックスシリーズはレギュラーシーズンで明確に順位が決まった後に行われる試合です。
なので可能な限り上位チームが勝ち進みやすいようにルールが作られています。
有利なポイント | ファーストステージ | ファイナルステージ |
---|---|---|
開催球場は上位チームの本拠地 | 2位が有利 | 1位が有利 |
引き分けは上位チームの勝ちに等しい | 2位が有利 | 1位が有利 |
1位チームに1勝のアドバンテージ | なし | 1位が有利 |
ファーストとファイナルの間の予備日は1日のみ | なし | 1位が有利 |
それぞれについて解説します。
開催球場は上位チームの本拠地
試合を開催する球場は常にレギュラーシーズン上位チームの本拠地です。
相手チームはずっとアウェー球場で試合をする必要があるので不利ですね。
引き分けは上位チームの勝ちに等しい
次にクライマックスシリーズでは勝敗数が並んだ場合は上位チームの勝ち抜けとなります。
例えばファーストステージで1勝1敗1分や0勝0敗3分となった場合は2位チームがファイナルステージに進みますね。
なので1引き分けは実質上位チームの1勝と同じ価値を持っているので上位チームに有利な制度になっています。
勝ち抜けチームが確定した時点でその試合の勝敗が決まっていなくてもコールドゲームで試合が終了します。
例えば2014年セリーグファーストステージの阪神(2位)vs広島(3位)では第1戦を阪神が勝利した後に、第2戦でも延長12回表を終えて同点という状況でした。
12回表終了時点で阪神の1勝1分以上が決まりファイナルステージ進出が確定したので12回裏の阪神の攻撃は行わずコールドで試合が終了しました。
1位チームに1勝のアドバンテージ
ファイナルステージでは1位チームに1勝のアドバンテージが付与されます。
勝率は良くても6割の野球というスポーツにおいて、最初から1勝をプレゼントされるのは効果絶大です。
相手からしたら初戦に勝利してやっとイーブンですから下位チームから日本シリーズに進出する難易度の高さがわかります。
あくまでファーストステージは2位vs3位のレギュラーシーズン敗者同士の戦いです。
優勝している1位チームに1勝のアドバンテージを与えるのは妥当ですが、優勝できなかった(=敗者)の2位チームにはファーストステージでアドバンテージは与えられていません。
ファーストとファイナルの間の予備日は1日のみ
ファーストステージとファイナルステージの間の予備日は1日しかありません。
野手陣の体力へのダメージも大きいですが一番影響を受けるのは先発ローテーションですね。
ファーストステージが第3戦までもつれ込み、かつ中5日で先発投手を回すとすると次のようなローテーションになります。
下位チームの先発 | 1位チームの先発 | |
---|---|---|
ファーストステージ第1戦 | エース | |
ファーストステージ第2戦 | 2番手 | |
ファーストステージ第3戦 | 3番手 | |
(予備日) | ||
ファイナルステージ第1戦 | 4番手 | エース |
ファイナルステージ第2戦 | 5番手 | 2番手 |
ファイナルステージ第3戦 | エース | 3番手 |
ファイナルステージ第4戦 | 2番手 | 4番手 |
ファイナルステージ第5戦 | 3番手 | 5番手 |
ファイナルステージ第6戦 | 4番手 | 6番手 |
(予備日) | ||
(予備日) |
下位チームはファーストステージでエース級の投手を使い切っています。
なのでファイナルステージの第1戦と第2戦を格の落ちる先発投手で戦わないといけないことになります。
しかもすでに1位チームに1勝のアドバンテージがあるので第1、2戦で下位チームが連敗するようなことがあるともう勝ち目はほとんどありませんね。
クライマックスシリーズの過去の結果
ここまでのクライマックスシリーズの戦歴について紹介します。
各ステージで勝ち抜きを決めたチームを水色背景にしています。
ファーストステージ【セリーグ】
セリーグのファーストステージの歴代結果です。
開催年度 | 2位チーム | 3位チーム |
---|---|---|
2007 | 中日 | 阪神 |
2008 | 阪神 | 中日 |
2009 | 中日 | ヤクルト |
2010 | 阪神 | 巨人 |
2011 | ヤクルト | 巨人 |
2012 | 中日 | ヤクルト |
2013 | 阪神 | 広島 |
2014 | 阪神 | 広島 |
2015 | 巨人 | 阪神 |
2016 | 巨人 | 横浜DeNA |
2017 | 阪神 | 横浜DeNA |
2018 | ヤクルト | 巨人 |
2019 | 横浜DeNA | 阪神 |
2020 | 感染拡大防止のため開催中止 | |
2021 | 阪神 | 巨人 |
2022 | 横浜DeNA | 阪神 |
2位チームの方がホーム球場で開催できる、引き分けは実質勝利という有利な状況ですが意外と3位チームがファイナルステージに進出している年が多いです。
ファーストステージ【パリーグ】
開催年度 | 2位チーム | 3位チーム |
---|---|---|
2007 | ロッテ | ソフトバンク |
2008 | オリックス | 日本ハム |
2009 | 楽天 | ソフトバンク |
2010 | 西武 | ロッテ |
2011 | 日本ハム | 西武 |
2012 | 西武 | ソフトバンク |
2013 | 西武 | ロッテ |
2014 | オリックス | 日本ハム |
2015 | 日本ハム | ロッテ |
2016 | ソフトバンク | ロッテ |
2017 | 西武 | 楽天 |
2018 | ソフトバンク | 日本ハム |
2019 | ソフトバンク | 楽天 |
2020 | 感染拡大防止のため開催中止 | |
2021 | ロッテ | 楽天 |
2022 | ソフトバンク | 西武 |
パリーグのファーストステージもセリーグの傾向と同様に2位と3位が同じくらいの比率でファイナルステージに進出しています。
ファイナルステージ【セリーグ】
次にファイナルステージの歴代結果一覧です。
開催年度 | 1位チーム | 1stステージ突破チーム |
---|---|---|
2007 | 巨人 | 中日(2位) |
2008 | 巨人 | 中日(3位) |
2009 | 巨人 | 中日(2位) |
2010 | 中日 | 巨人(3位) |
2011 | 中日 | ヤクルト(2位) |
2012 | 巨人 | 中日(2位) |
2013 | 巨人 | 広島(3位) |
2014 | 巨人 | 阪神(2位) |
2015 | ヤクルト | 巨人(2位) |
2016 | 広島 | 横浜DeNA(3位) |
2017 | 広島 | 横浜DeNA(3位) |
2018 | 広島 | 巨人(3位) |
2019 | 巨人 | 阪神(3位) |
2020 | 感染拡大防止のため開催中止 | |
2021 | ヤクルト | 巨人(3位) |
2022 | ヤクルト | 阪神(3位) |
※2020年のセリーグクライマックスシリーズはコロナウィルス感染拡大防止のため中止されレギュラーシーズン1位の巨人が日本シリーズ出場
やはり1位チームの勝率が圧倒的に高いですね。
2010年代はセリーグ全6球団が最低1度は日本シリーズ進出を経験しています。
ファイナルステージ【パリーグ】
開催年度 | 1位チーム | 1stステージ突破チーム |
---|---|---|
2007 | 日本ハム | ロッテ(2位) |
2008 | 西武 | 日本ハム(3位) |
2009 | 日本ハム | 楽天(2位) |
2010 | ソフトバンク | ロッテ(3位) |
2011 | ソフトバンク | 西武(3位) |
2012 | 日本ハム | ソフトバンク(3位) |
2013 | 楽天 | ロッテ(3位) |
2014 | ソフトバンク | 日本ハム(3位) |
2015 | ソフトバンク | ロッテ(3位) |
2016 | 日本ハム | ソフトバンク(2位) |
2017 | ソフトバンク | 楽天(3位) |
2018 | 西武 | ソフトバンク(2位) |
2019 | 西武 | ソフトバンク(2位) |
2020 | ソフトバンク | ロッテ(2位) |
2021 | オリックス | ロッテ(2位) |
2022 | オリックス | ソフトバンク(2位) |
※2020年のパリーグクライマックスシリーズはコロナウィルス感染拡大防止のためファイナルステージのみ開催(4戦3勝先取制)
2010年代のパリーグはソフトバンク一強といった印象が強いですね。
プレーオフ時代(2004-2006)のソフトバンクは短期決戦に弱いというイメージでしたが見事にそのイメージを払拭して短期決戦にすこぶる強いチームに変貌しました。
クライマックスシリーズには賛否両論がある【廃止論も】
クライマックスシリーズは短期決戦という一面があるのでピリピリした緊迫感を楽しむことができます。
長期戦のレギュラーシーズンにはない、まるで一発勝負の甲子園大会のような真剣勝負を見れるんですよね。
しかしそんなクライマックスシリーズですが賛否両論の的にもなっています。
それはレギュラーシーズンの敗者がプロ野球最高峰の戦いである日本シリーズに進出できてしまう、という点ですね。
レギュラーシーズンは143試合、期間にして6ヶ月にも及ぶ長丁場な戦いです。
その長期決戦をほとんどなかったことにして仕切り直しでクライマックスシリーズを開催するのですから否定的な意見が出るのは当然の話ですね。
ただしクライマックスシリーズには消化試合を減らすことができる、収益を増やすことができるといったメリットがあるのも事実です。
本サイトではクライマックスシリーズが廃止となる場合を想定して3リーグ制や、
【提案】プロ野球を3リーグ制にしてみたら面白い説【12球団3リーグ制】
16球団制の導入についてシミュレーションしてみているので興味があれば読んでみてください。
【静岡、新潟、松山、那覇】プロ野球16球団構想をシミュレーションしてみた
クライマックスシリーズまとめ
本記事ではプロ野球のクライマックスシリーズについて解説しました。
✔︎クライマックスシリーズの開催概要
開催目的 | 日本シリーズの出場チームを決定する |
---|---|
出場チーム | 各リーグの上位3チーム |
実施方式 | トーナメント方式 |
日程 | レギュラーシーズン終了後の10月初め頃 |
延長戦 | 延長12回まで |
表彰 | 優勝チームから1人MVPを選出 |
✔︎クライマックスシリーズのルールのポイント
有利なポイント | ファーストステージ | ファイナルステージ |
---|---|---|
開催球場は上位チームの本拠地 | 2位が有利 | 1位が有利 |
引き分けは上位チームの勝ちに等しい | 2位が有利 | 1位が有利 |
1位チームに1勝のアドバンテージ | なし | 1位が有利 |
ファーストとファイナルの間の予備日は1日のみ | なし | 1位が有利 |
以上です。