今回はメジャーで誕生し日本球界でも浸透しつつある「フライボール革命」に関して解説していきます。
目次
フライボール革命とは
フライボール革命とは、
ゴロ打ちを避け意図的にフライを打つ打撃理論
のことです。
英語で「Fly ball revolution」と言います。
この理論は海の向こう、メジャーリーグが発端になって誕生しました。
一体フライボール革命はなぜ誕生したのでしょうか?
フライボール革命はなぜ誕生したの?
フライボール革命は2010年代半ばから導入され始めた
スタットキャスト(Statcast)
による分析とともに誕生しました。
スタットキャストとは選手やボールの動きを高精度に分析するシステムです。
2014年に試験運転され2015年から正式に全本拠地に導入されました。
このスタットキャストにより「ホームランになりやすい打球」が科学的に分析されたんですよね。
ホームランになりやすい打球とは?
バレルゾーンとは、
打球速度158km/h以上、打球角度26-30度のスイートスポット
のことです。
打球がバレルゾーンを通過した時は安打になる確率が8割を超えその多くがホームランになります。
バッターにとって大きなメリットのある考えです。
そして打球速度が158km/hに達するためのスイングスピードは
スイングスピード:128km/h以上
が必要と言われています。
フライボール革命はどんな効果があったの?
フライボール革命をいち早く導入したのは
ヒューストンアストロズ
です。
アストロズは2017年に意図的にフライを打つ戦略を導入し、16年から17年にかけて打率.247→.282、本塁打数198→238にまで上昇させました。
そして球団創設以来初めてとなる世界一を達成しています。
アストロズが世界一になってからはフライボール革命は一気に米球界に浸透し、2019年にはMLB史上最多の6776本のホームランが飛び交いました。
フライボール革命の弊害は何?その理由は?
フライボール革命の導入による最も大きな弊害は
野球がつまらなくなる可能性がある
ということです。
この弊害には大きく3つの理由があります。
❶三振が増えるから
❷フライアウトが増えるから
❸攻撃が淡白になるから
❶三振が増えるから
バレルゾーンを通過する打球を打つためにはボールの少し下を叩く必要があります。
ボールの真ん中を打とうとする時より明らかにボールとバットが当たる確率が下がりますね。
その結果として三振の数が急増しています。
三振という打撃結果はキャッチャーがキャッチして終了なので守備陣のプレーを見ることができずエキサイトした試合になりにくいです。
❷フライアウトが増えるから
フライボール革命はフライを打とうとするので結果としてフライアウトが増えます。
フライアウトという打撃結果はみてる側にとってつまらないものです。
- フライアウト 打球キャッチで終了
- ゴロアウト 打球キャッチ→スローイング→送球キャッチで終了
一つの打撃に対して打球キャッチというアクションしか発生しないんです。
❸攻撃が淡白になるから
野球には三振やホームラン以外にもバントやエンドラン、進塁打など様々な戦術があります。
しかしフライボール革命ではランナーの有無に関係なくフライ性の打球を打ってくるので攻撃が単調になりやすいです。
その結果打撃結果がホームランor三振orフライアウトに集中してしまいます。
まとめ
- フライボール革命とは、「ゴロ打ちを避け意図的にフライを打つ打撃理論」
- バレルゾーンとは、打球速度158km/h以上、打球角度26-30度のスイートスポット
- フライボール革命の弊害は「野球がつまらなくなる可能性がある」こと
→理由❶ 三振が増えるから
→理由❷ フライアウトが増えるから
→理由❸ 攻撃が淡白になるから
日本でも2番打者に強打者を置いたり意識的にフライを打つ打者が出てきたりしていてフライボール革命が浸透しつつあります。
見てる側からしたら得点が増えて試合がエキサイトするのは楽しいことなのですが戦術が本塁打一辺倒になってしまうのはいかがなものかと思いますね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。