こんにちは。
数年に一回プロ野球界を騒がせるトピックとして二段モーションの話が挙げられますね。
二段モーションの禁止によって苦しんだ投手は多くいますが、現在は解禁されて多くの投手が二段モーションを活用しています。
そこで本記事では二段モーションのメリットや禁止・解禁の経緯について紹介していきます。
✔︎本記事の内容
- 二段モーションのメリット
- 二段モーションの禁止&解禁の経緯
- 二段モーションで有名な投手を紹介
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
二段モーションとは?
二段モーションとは
投球時に一度上げた足を上下させる投球フォーム
のことです。
下動画のような投球フォームのことですね。
二段モーションをするメリット
二段モーションを行なうメリットは次の点です。
- 投手視点:タメを作ることで球威がアップする
- 打者視点:タイミングを外せる(効果なしとの研究結果も)
投手視点:タメを作ることで球威がアップする
二段モーションにすることで自分の中でタメを作ることができます。
投球フォームの流れ的に言えば、足を上下させることで
❶利き腕を上げる時間稼ぎを行ない、
❷軸足股関節に力を溜め、
❸ステップと同時に力を放出する
という一連の動作をスムーズに行えます。
確かにイメージ的にも足を上下させたほうが軸足にしっかり体重が乗りそうですよね。
打者視点:タイミングを外せる(効果なしとの研究結果も)
打者視点で言うと二段モーションのほうがタイミングを取りづらくなります。
バッティングをする上でタイミングは打者の命なので投手にとっては大きなメリットですね。
ただしこれについては二段モーションによって打者側のパフォーマンスが落ちることはないという研究結果も出ているのであくまで仮定の話ですね。(後述します)
二段モーションは禁止されていた【2006年から】
二段モーションは2006年から禁止されていた投球フォームであり、違反するとボークを取られました。
禁止の理由は「国際化」です。
日本プロ野球は公認野球規則のルールに従って行われていますが、公認野球規則はアメリカの「Official Baseball Rules」を基本的に翻訳する形で使用しています。
しかし二段モーションに関するルールについてはずっと不明瞭な状態が続いており、条文上も日本独自に解釈した文章となっていました。
そこで2006年からはOfficial Baseball Rulesの原文通りに受け取ろうと言う流れになり、結果として二段モーションに関する規制が厳しくなりました。
二段モーションが解禁!【2018年から】
その後二段モーション禁止のまま13年が経過し2018年からは再度二段モーションが解禁になりました。
解禁の理由はまたしても「国際化」です。
元々2006年から二段モーションが禁止されて以降、二段モーションとされた投球方法がMLBの審判に問題ないとされたり逆に日本で問題なかった投球フォームがMLBで注意を受けたり結局あいまいな基準になってしまっていました。
2018年から公認野球規則の定義38の【注】が削除されたことで走者がいない場合の二段モーションがOKになりました。
【注】投手が5.07(a)(1)および(2)に規定された投球動作に違反して投球した場合にも、反則投球となる。
引用元:公認野球規則
また2020年には二段モーションが打者の打撃パフォーマンスや投手の投球パフォーマンスに悪影響はないかどうかについて研究結果が報告されました。
その研究結果の要旨は以下のとおりでした。
・二段モーションや一旦停止モーション(以下、変則足上げモーションと言う)は、フェアゾーンへの打球率、打球速度、打球方向に代表される打撃パフォーマンスに特段の影響を与えるものではない。
・変則足上げモーションによって、打者の重心移動は何らかの影響を受けている可能性はあるが、それは打者の踏み込み足の着地時にはほぼ解消され、投手がボールをリリースする際には、その影響はほぼ消失する。
・変則足上げモーションは、投球速度、制球力、ボールの回転数、ボールの回転軸、ボールの変化量に代表される投球パフォーマンスに特段の影響を及ぼさない。
・変則足上げモーションによって、片脚立位姿勢(バランスポジション)時の投球動作には若干の違いが認められたが、肘関節内反トルク、肩関節牽引力、肩関節剪断力に代表される投球障害因子にも影響を及ぼすものではない。
引用元:BBM Sports「[野球]2020年度改正規則の解説<2>投球動作およびボークルール」
要約すると二段モーションは打撃パフォーマンスにも投球パフォーマンスにも特段の悪影響はないと日本野球科学研究会から報告されました。
そして(5)5.07(a)(2)【注2】の下記文言についても2020年に削除されています。
投球動作をスムーズに行わずに、ことさらに段階をつけるモーションをしたり、手足をぶらぶらさせて投球すること
引用元:公認野球規則
足を上下させたりグラブをポンと叩いたりすることは投球の一部とみなすという結論になりました。
二段モーションで有名な投手を紹介
二段モーションの投手として代表的な選手は次の5名です。
- 三浦大輔
- 岩隈久志
- 小川泰弘
- 菊池雄星
- 宮城大弥
一人ずつ二段モーションの動画を一緒に載せておきます。
三浦大輔
ハマの番長こと三浦大輔投手です。
2006年の二段モーション禁止時はフォーム変更を余儀なくされましたがそれでもその年はリーグ最多の9完投、3完封をする活躍を見せました。
岩隈久志
岩隈投手も二段モーション禁止でフォーム変更を余儀なくされましたが2008年に21勝をマークする大活躍でMVPと沢村賞に輝きました。
この人の二段モーションは芸術的ですよね。
小川泰弘
ライアン小川こと、小川泰弘投手です。
足を大きく振り上げるダイナミックな投球フォームが特徴的でプロ入り1年目から最多勝を獲得する活躍を見せています。
菊池雄星
2017年に最多勝と最優秀防御率を獲得した菊池雄星投手です。
菊池投手も2017年に審判から二段モーションを指摘されましたが、それを乗り越えて投手タイトルを獲得しています。
宮城大弥
最後は2021年に新人王を獲得した宮城投手です。
地面スレスレまで足を一旦下げてから再び上げる独特なフォームが特徴的です。
二段モーションまとめ
本記事では二段モーションについて紹介しました。
- 二段モーションとは投球時に一度上げた足を上下させる投球フォーム
- 投手視点のメリット:タメを作ることで球威がアップする
- 打者視点のメリット:タイミングを外せる(効果なしとの研究結果も)
- 2006年から二段モーション禁止になったが2018年から再び解禁となった
以上です。