こんにちは。
本記事ではそのピッチコムについて気になる点をわかりやすく解説していきます。
✔︎本記事の内容
- MLBで使われるピッチコムとは?
- ピッチコムの仕組みや装着できる選手
- ピッチコムを導入する目的
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
MLBで使われるピッチコムとは?
ピッチコム(PitchCom)とは、
捕手から投手にサインを伝達する電子機器
のことです。
メジャーリーグにて2022年レギュラーシーズンから正式に利用可能になりました。
これまでは指や手の動きで捕手から投手にサインを送っていましたが、ピッチコムを使用すれば暗号化された通信で投手にサインを送信することができます。
ピッチコムの仕組み
ピッチコムは次図のような9つのボタンがついている電子機器で、捕手が左腕や右膝のレガースに装着します。
The NFL has been sending in signals with technology for 25 years.
Baseball? They've been wiggling fingers.
Not anymore. MLB will allow catchers & pitchers to use PitchCom this season to call pitches.
I had some thoughts on why this is a big developmenthttps://t.co/gz1OCL2ONN
— Jayson Stark (@jaysonst) April 5, 2022
投手は帽子にレシーバーを着用し音声によって捕手からのサインを受け取ります。
1回目で球種、2回目にコースを押して送信、といったように使用します。
レシーバーからの音声は英語以外の言語にも対応しているので、日本人メジャーリーガーが使用する場合は日本語に変換してくれそうですね。
ピッチコムとレシーバーを装着する選手
ピッチコムとレシーバーを装着する選手は以下の通りです。
- ピッチコム:捕手
- レシーバー:投手、野手(最大3人まで)
投手だけでなく野手もレシーバーを装着可能なので捕手からのサインを受信して守備位置を調整するという使い方ができます。
頻繁にポジション取りを変えるセカンド、ショート、センターの3人が使うという運用になりそうですね。
ピッチコム導入の目的
それではなぜメジャーリーグはピッチコム導入に至ったのでしょうか?
ピッチコムを導入する目的は次の2点があります
- サイン盗みを防止する
- 試合時間を短縮する
それぞれ解説します。
サイン盗みを防止する
まずはサイン盗み防止が理由になります。
メジャーでは2017年にワールドシリーズ制覇したアストロズのサイン盗み騒動が話題になりました。
アストロズのサイン盗みは下記のやり方で行われたと言われています。
①センター裏のカメラからサインを解読
②ベンチ裏にモニターで球種を伝達
③バッターにゴミ箱を叩く回数で球種を伝達
捕手から投手に指でサインを伝達するとどうしてもセンター方向に丸見えになってしまいます。
電子機器で暗号化通信経由で投手にサインを伝達すればセンター方向からのサイン盗みを防止することができます。
試合時間を短縮する
2つ目の導入目的は試合時間の短縮です。
メジャーリーグでは試合時間を短縮するために、
- 申告敬遠:2017年から
- ワンポイントリリーフの禁止(最低3人の打者と対戦):2020年から
- ピッチクロック(投球間隔の時間制限):2023年シーズンから
といったようにさまざま施策を導入しています。
野球はサッカーやバスケといった他のスポーツよりも試合時間が長いです。
若者の消費行動として「時短」が挙げられていて、エンターテイメントとしての魅力を上げるために試合時間が少なくしようと試みています。
ピッチコムもその一環でありサイン交換時間を少なくすることで試合全体のテンポが良くなります!
ピッチコムに対する選手たちの評価
ピッチコムに対するメジャーの選手たちの声をまとめました。
ロッキーズのピッチング・オペレーション・ディレクターであるスティーブ・フォスター氏は「他の人に知られることなく投手にサインを伝える一助になるなら、(野球が)正しい方向に向かっているということ」と好意的だ。
引用:Full Count「電子機器での“サイン交換”を機構が承認 現場は歓迎「野球が正しい方向に」」
ロイヤルズの通算219勝右腕ザック・グリンキー投手は「帽子の中に機器を入れるが気にならないレベル。音声もしっかり聞こえる。これまでずっと目でサインを拾っていたから(耳で聞くという)違いに慣れないといけない」と語る。
引用:Full Count「電子機器での“サイン交換”を機構が承認 現場は歓迎「野球が正しい方向に」」
レイズのマイク・ズニーノ捕手は「試合のペースがかなり上がると思う。投手が(捕手の)サインを覗き込む必要がなくなることで、その数秒を体のリカバリーに回すことができる」と指摘。サイン盗み防止に加え、試合時間短縮や、投手に有利に働く点もあると見解を示している。
引用:Full Count「電子機器での“サイン交換”を機構が承認 現場は歓迎「野球が正しい方向に」」
メッツのヘイデン・センガー捕手は「投球時に指がどこに行くかを考えながらサインを出す必要がなく、コールしやすくなる」とコメントしている。
引用:日刊スポーツ「捕手から投手にサイン伝達する電子機器「ピッチコム」今シーズンから使用可 サイン盗み対策一環」
アダム・オッタヴィーノ投手も「これはこの問題の対策として見た最初のものだけど、かなり使いやすい。これでサインを盗むのは間違いなく難しいだろう」と語っている。
引用:日刊スポーツ「捕手から投手にサイン伝達する電子機器「ピッチコム」今シーズンから使用可 サイン盗み対策一環」
ジェフ・マクニール二塁手も「今のところ気に入っている。けんせい球の時とかいろいろなことができるんだ」と話したということだ。
引用:日刊スポーツ「捕手から投手にサイン伝達する電子機器「ピッチコム」今シーズンから使用可 サイン盗み対策一環」
前週、システムを初めてテストしたニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のルイス・セベリーノ(Luis Severino)投手も「素晴らしいと思う」と好印象を口にし、「最初は少し疑っていたが、使い始めたらとてもいい感じだった。次に投げる球がすぐに分かる」とコメントした。
引用:AFPBB News「サイン伝達の新技術導入 MLB新シーズンが間もなく開幕」
まとめ:ピッチコムの日本での導入はある?
本記事ではMLBで導入されたピッチコムというウェアラブル機器について解説しました。
✔︎本記事のまとめ
- ピッチコム(PitchCom)とは捕手から投手にサインを伝達する電子機器のこと
- 投手は帽子にレシーバーを着用し音声によって捕手が装着するピッチコムからのサインを受け取る
- ピッチコムの装着者:捕手
- レシーバーの装着者:投手、野手(最大3人まで)
- ピッチコム導入の目的:「サイン盗みを防止する」「試合時間を短縮する」
申告敬遠やリクエスト制度など、過去にMLBのルールを日本プロ野球にも導入した経緯を考えるとピッチコムも近い将来日本でも導入される可能性が高いですね。
こういう新しい施策を積極的にどんどん取り入れるのはアメリカっぽい慣習だと思います。
以上です。