ダブルヘッダーとはとあるチームが同じ日に2回試合を行なうことです。
現在のプロ野球ではまず見ることのなくなったダブルヘッダーですがなぜなくなってしまったのでしょうか?
本記事ではダブルヘッダーがなくなった理由とこれまでのダブルヘッダーの歴史について少し紐解いていきます。
✔︎本記事の内容
- ダブルヘッダーの意味とは?ダブルヘッダーがなくなった理由を解説
- 日本プロ野球でのダブルヘッダーの歴史【有名なのは10.19】
- メジャーリーグのコロナ特別ルール【ダブルヘッダー7イニング制】
目次
ダブルヘッダーの意味とは?
ダブルヘッダーとはあるチームが同じ日に2回試合を行なうことです。
例えばとあるチームAの試合日程が
13:00〜 vsチームB
18:00〜 vsチームB
となっていたり
14:00〜 vsチームB
18:30〜 vsチームC
となっていたらまさにチームAはダブルヘッダーが組まれていると言えますね。
2試合とも相手チームが同じ場合はダブルヘッダー、相手チームが入れ替わる場合は変則ダブルヘッダーと呼びます。
現在はダブルヘッダー自体がほとんど開催されないため変則ダブルヘッダーという用語はまず使われません。
なお少年野球や中学野球ではリーグ戦や練習試合でよくダブルヘッダーが組まれますね。
日本プロ野球でダブルヘッダーがなくなった理由
プロ野球では1998年を最後にダブルヘッダーは組まれなくなりました。
それではなぜダブルヘッダーが消滅してしまったのでしょうか?
理由としては次のような点があります。
- 交通機関が発達したから
- 野球場の数が増えたから
- ドーム球場の増加により雨天中止が減ったから
交通機関が発達したから
昔は交通機関が今ほど発達していなかったので移動時間が長かったです。
しかし1カード3試合制を維持するために毎週金曜日を移動日にして日曜・祝日にダブルヘッダーを組むといった運営をしていました。
現在は数時間で移動が完了するのでわざわざ移動のために1日を消費するということは無くなりました。(毎週月曜日は移動日ではなく休養日という位置づけ)
野球場の数が増えたから
ダブルヘッダーが減った理由として国内の野球場の数が昔と比べて増加したことが挙げられますね。
昔は一つの球場を複数球団が本拠地として使用する時代が続いていました。
1955年と2022年に各チームが本拠地として使用していた野球場は次の通りです。
✔︎各チームの本拠地
チーム名 | 本拠地(1955年) | 本拠地(2022年) |
---|---|---|
巨人 | 後楽園球場 | 東京ドーム |
ヤクルト | 後楽園球場 | 明治神宮野球場 |
横浜DeNA | 川崎球場 | 横浜スタジアム |
中日 | ナゴヤ球場 | バンテリンドーム ナゴヤ |
阪神 | 阪神甲子園球場 | 阪神甲子園球場 |
広島 | 広島県総合グランド野球場 | MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 |
日本ハム | 駒澤野球場 | 札幌ドーム |
楽天 | (球団誕生前) | 楽天生命パーク宮城 |
西武 | 平和台野球場 | ベルーナドーム |
ロッテ | 後楽園球場 | ZOZOマリンスタジアム |
オリックス | 阪急西宮球場 | 京セラドーム大阪、(ほっともっとフィールド神戸) |
ソフトバンク | 大阪球場 | 福岡PayPayドーム |
近鉄 | 大阪球場 | (球団消滅) |
1955年は後楽園を3球団、大阪球場を2球団が本拠地として使用していました。
当然ですが試合数はどの球団も平等にあるのでこの2球場の稼働率は高くせざるを得ないですよね。
昼と夜に1試合ずつやらないとレギュラーシーズンの全試合を消化しきれないなんてこともザラにあるでしょう。
一方で現在は各球団がそれぞれで専用の本拠地を持っています。
なので一つの野球場を複数球団が本拠地としていた時代よりは試合スケジュールは自由に組みやすいですね。
ドーム球場の増加により雨天中止が減ったから
また野球場の増加と合わせてドーム球場の数も増えました。
現在のドーム球場は次の通りです。
- 札幌ドーム:日本ハム
- 西武ドーム(ベルーナドーム):西武
- 東京ドーム:巨人
- ナゴヤドーム(バンテリンドーム):中日
- 大阪ドーム(京セラドーム大阪):オリックス
- 福岡ドーム(福岡PayPayドーム):ソフトバンク
12球団のうち実に半分の6球団がドーム球場を本拠地としています。
ドーム球場なら雨天による試合中止はないのでスケジュール通りに試合を消化しやすくなります。
スケジュールを消化しきれないことによるダブルヘッダーの開催というのはなかなか起こりづらいですね。
日本プロ野球でのダブルヘッダーの歴史
日本で最後にダブルヘッダーが開催されたのは1998年
日本プロ野球では以下の試合を最後にダブルヘッダーは開催されていません。
- セリーグ:1998年10月10日 横浜対中日(横浜スタジアム)
- パリーグ:1998年10月9日 西武対オリックス(西武ドーム)
これまでに開催されたダブルヘッダーの中で一番有名な対戦カードは川崎球場で行われたロッテオリオンズ対近鉄バファローズですね。
日本で有名なダブルヘッダーはロッテ対近鉄
通称「10.19」と呼ばれている球史に残るダブルヘッダーです。
試合前の状況は次のようになっていました。
- 1988年10月19日にロッテ対近鉄のダブルヘッダーが組まれる
- 近鉄が連勝すれば近鉄の優勝、近鉄が一つでも負けるか引き分ければ西武の優勝が決まる
- 西武は既に全日程を消化していて近鉄もこの日の2試合で全日程を消化する
第1試合は3対3の同点で迎えた9回表に梨田昌孝選手の勝ち越しタイムリーが飛び出し、裏の反撃を抑えて近鉄が勝利を挙げました。
第1試合は「延長戦なし、9回打ち切り」というルールだったのでもし9回表に勝ち越さなければ引き分けとなってしまっていました。
しかし近鉄がぎりぎりのところで勝利を挙げることができたので優勝の行方は第2試合の結果に委ねられました。
第2試合も接戦となり4対4の同点のまま延長戦に突入します。
しかしダブルヘッダー第2試合のルールとして「試合時間4時間を越えた延長戦は行わない」というものがありました。
9回裏途中時点で3時間半を経過していたことから10回表の近鉄の攻撃が実質的に最後の攻撃となりました。
しかし10回表の近鉄は無得点に終わり10回裏の途中で4時間を経過したことから11回に突入しないことが確定し近鉄の引き分け以下が決定、西武の優勝が確定します。
2020、2021年シーズンのMLBでは7回制のダブルヘッダーが実施された
メジャーリーグでは2020,2021年シーズンは7イニング制でダブルヘッダーを開催していました。
- ダブルヘッダーは2試合とも7イニング制
- 延長戦に突入したら最初から2塁にランナーを置くタイブレークを採用
球場に長時間滞在してしまうリスクや選手の健康状態への配慮のための特別ルールでした。
2022年からはダブルヘッダーでも通常の9イニング制に戻っています。
ダブルヘッダーまとめ
- ダブルヘッダーとはあるチームが同じ日に2回試合を行なうこと
- ダブルヘッダーがなくなった理由:「交通機関が発達したから」「野球場の数が増えたから」「ドーム球場の増加により雨天中止が減ったから」
- 日本で最後にダブルヘッダーが開催されたのは1998年
- 日本で有名なダブルヘッダーはロッテ対近鉄(通称、「10.19」)
以上です。